ブッダガヤのマハンタ


マハラジャといえばインドはかつてその地区を治める王として各地にいらした。ブッダガヤにもこの地を治める大金持ちがおりマハンタと呼ばれていた。現在もブッダガヤ警察署の近くに昔からの城のような大きい家マハンタ邸がある。ブッダガヤはもともとマハンタの土地で現在は政府の管理下の大塔も彼の土地にあった。

日本寺駐在中一度お邪魔したくらいで最近は行っていなかったが用事があり訪れることになった。宮殿は高い塀に囲まれ大きい門から中に入った。オールドデリーの観光名所ラールキラー城の部屋ばりの豪華なものでマハンタの座る玉座には虎の尾頭付毛皮(お金持ちの象徴でよく出るあれ)の本物があり大迫力である。部屋の一角に仏像がたくさん置かれている。南方仏教上座部仏教系の方がお参りに来るのか仏像に金箔が貼られているものもある。特に仏足石は一見の価値がある。状態が非常によくデザインもよく見るものよりどっしりした形で美しい。多くは仏像全盛期パーラー時代12、3世紀のものとのこと。

基本的に個人の家なので観光地のように自由に見ることはできないが現地ガイドなど通して拝むことができる。

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マハンタ邸の仏像群

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いろいろな仏像

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仏足石

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正面より撮影


前正覚山


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洞窟前の広場

 

 

 

 

 

 

 

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前正覚山上空。ガヤ空港着時

お釈迦様はブッダガヤ近郊スジャータ村の奥にある苦行林で苦行をし、その後苦行では悟れないことがわかり現ブッダガヤの菩提樹の木下で悟りを開かれたわけだが、その悟る前にこの「前正覚山」の洞窟で瞑想されたことがある。「悟る(正覚)」の前にいた山だからこの名前がついた。インド名「ドンガシュリ」。

ブッダガヤからだとオートリキシャやバイクで30分ほどで着く。岩山の中間地点にあり徒歩で20分くらいの山道を登るか駕籠屋がいるのでそれを利用することもできる。参拝者の多い冬場にはこの山道に無数の物乞いが座り喜捨を求めてくる。ブッダガヤ駐在の始めの頃、初めてそのような光景を見た時はその数に圧倒された。さてブッダの瞑想された小さい石室が現在はチベット仏教ゲルグ派の寺院内にある。仏教寺院内ではあるがヒンドゥー教僧侶も常駐している。石室内は狭くせいぜい畳4畳半ほどで仏像などが祀られている。ろうそくとオイルランプの明かりのみで独特な圧迫感がある。

通常の団体仏跡旅行ではあえてスケジュールとして時間を取らないと参拝は難しいが少人数だとエントリーは難しくはない。

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尼連禅河前からの前正覚山

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登山口

 

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なぜかアウンサンスーチ氏のポスターが寺院に

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洞窟内仏像

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堂守チベット僧と

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前正覚山からブッダガヤを見る

 

 


日本のおみやげ


海外旅行で団体ツアーに欠かせない場所(行きたくないけど)に団体専用おみやげ店がある。おそらくない国はない。もちろん日本にも外国人専用のおみやげ屋がある。

京都の平安神宮を北上すると外国人専門の武具グッズや日本アート専門店が多い。その中に京都ハンディクラフトセンターがある基本外国人専用(日本人ももちろん利用している)のおみやげ店である。中に入ると外国人好みのおみやげがいっぱい。値札も全て英文。普通にはあまり見ることのできない日本人でも嬉しくなるような商品が並ぶ。海外にあるようにおみやげ店特別値段?が一般価格とのかけ離れもなく適正価格はさすが真面目な日本人と思う。

外国人が日本の何に興味があるのかわかりやすい店だ。

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日本のアニメ本

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京都、平安神宮の北にある

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Manga

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Samurai

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寿司や浮世絵のキーホルダー

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日本グッズ

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katana


仏足石と賽銭


タイのとある一般寺院にお参りしたところ、仏足石がありその上にたくさんお賽銭が置かれている。その中である参拝者が仏足石上に賽銭を立てようとしている。この仏足石は石の上に掘られていて完全に平らではないのでコインを立てるのは非常に難しい。おそらく運よく立ったら願いがもっと叶いやすくなると信じての行為だろう。

日本でも仏足石に賽銭を置いているのはあちらこちらのお寺でも見たことがある。あるお寺で住職に聞くと誰かが置き始めていつの間にか増えていったそうで住職が指導したわけではないという。おそらくタイでもお坊さんが指導したわけではなく誰かが置き始めて増えていった感がある。

浄土真宗でも興味深い話があって、本願寺の本堂に木の穴や亀裂を埋めるために職人が遊び心でいろんな形をした埋め木を使用しているがその中にハート型をしたものがあり、ここが平たく言うと流行りの「スピリチュアルスポット」になっているらしい。ある日職員が埋め木が少し浮いているので触ってみると埋め木が外れその中に賽銭がたくさん入っていたという話を聞いた。もちろん誰かが勝手にやっている事であり浄土真宗の教義からは逸脱しているが人の信仰のスタイルはかわならい。

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コインを立てようと頑張る。

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難しい。苦笑いする参拝者。

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多くの参拝者の賽銭が仏足石上にある

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香川県にあった仏足石にもたくさんの賽銭がのっていた。

西本願寺の某所にあるハート形埋め木。現在は取れないようにしてあるが誰かが色を塗った模様

ひょうたん型、普通の埋め木


Happy?


南タイでの出来事。観光寺院でない一般の少し大きめのお寺に参拝したとき、本堂などの場所がわからず駐車場をウロウロしていたらワンボックスに乗ったお坊さんに出会った。老僧と若いお坊さんが3人ほどでドアを開けて誰かを待っている様子だった。老僧は車のドアの席に座り若いお坊さんは車から出てなにやら世間話をしている。目が会うやいなや私は合掌をして挨拶した。すると老僧がニコニコしながら「Happy?」と問いかける。「幸せか?」このような言葉がごく自然に出るなんて!HelloとかHow are you?なら何度も聞いたがと思っていたら、思い出した。ブッダガヤのあるお坊さんは同じような挨拶をしてくれた。ダライ・ラマ法王も人生の目的は幸せになることにあると法話される。日本の僧侶はあまりに明快すぎて言葉にしにくい「幸せ」という言葉が自然にでるようになっていきたい。

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ブッダガヤで瞑想するビルマ僧


お布施


タイやインド、スリランカなどの上座部仏教のお布施は現金と共にお袈裟や日用品を添えてお坊さんに納められることが多い。

タイは特にお坊さんのお布施をする行為は日常的に多いので普通にスーパーや雑貨屋で袈裟やお布施用日用品セットを売っている。セットの中身はちょっとした風邪薬や歯ブラシ、歯磨き粉、石鹸また「インヘラー」という鼻口から吸ってすっきり感が味わえるタイガーバーム臭のものもよくはいっている(咳、喉ぐすりとのこと)。またタイのお坊さんは消耗品以外の日用品も袈裟と同じ色の黄色系のものがよく使われタオルから傘、バケツに至るまで黄色系のものがお布施用に売られている。日本で言うならスーパーなどでお布施袋や線香などのセットが売っている感覚。

ブッダガヤ駐在時もタイ、スリランカのお寺などでお袈裟やそのようなお布施用日用品セットをお布施でいただき、日本にはないお坊さんグッズが珍しく興味深かった。今でもバンコクのスーパーに行けば必ずこのコーナーを見て面白い物を探してしまう。

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お寺にも事前に用意されたお布施セットが売られている。タイ某所

 

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バンコクのスーパーにあるお布施コーナー

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スーパーでお袈裟販売

 

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お布施日用品セット。洗剤や歯ブラシや裁縫道具、簡単な薬が入っている入れているバケツまで黄色系



インド旅行にいけば水道水の使用はご法度で、中には歯磨きもミネラルウォーターを進めるガイドもいる。大げさかと思う方もいると思うが本当に歯磨きで腹を壊すこともある。なにせ生野菜についた水で腹の調子が悪くなることもある。

ブッダガヤの日本寺の蛇口から出る水は井戸水(井戸によって飲めないのもある)だったので普通に使って問題なかった。とは言っても入寺始めはお腹も壊す。大先輩からは体がインドに慣れる上で3つの大きくお腹を壊す段階があり3週間、3ヶ月、3年で3つの段階(寝込むほどの高熱や下痢)があり3年後はインド人化すると教えられた。実際私も3週間と3ヶ月の段階は味わった。

数ヶ月もするとだんだん慣れてお寺以外でも他国の寺院法要でお斎(法事の食事)に呼ばれたときはそのお寺の水を普通に飲めるようになり、そのうちインド人と同じように普通に飲めるようになった。ただその地区の水に慣れただけで、町を離れると水は変わる。ちなみにインド人でも旅行に行ったり他の地方に行く時は気を使いミネラルウォーターを飲むことが多い。安全かわからない水の感覚は私たちと同じ。

ちなみに駐在を終えて日本に帰って水道水を飲んだら下痢をした。

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一般的なインドの井戸 これは仏教青年会が寄贈した井戸


カジャ!カジャ!


インドの聖地巡礼でナーランダ大学跡に行った方ならおそらく食べているナーランダの銘菓「カジャ」。ウエハース状の甘い揚げ菓子で非常に人気のあるお菓子だ。ナーランダ近郊の主要道路沿いにこれを売る店がかたまって数十あり、ここの名物として観光バスや地元の人でいつもいっぱいである。

さてインド人は冗談が好きでこのカジャに関する冗談をひとつ。

少し頭の弱い男がいたそうな。彼がカジャ店の前で「これは何?」とカジャを指差し質問した。店の主人は面倒くさそうに「カジャ!カジャ!」(カジャだよカジャ!)と答えると男はそのカジャをとり勝手に食べだした。「何をするんだ」怒る主人。男は言った。「だってカジャ!カジャ!といったではないか」という冗談。(ヒンディーで「カジャ」とは「食べろ」と同じ意味)

これをナーランダや近郊ラジギールの人にこの冗談を話すと何回話しても爆笑される。外国人が吉本ギャグのベタな冗談を言ったら日本人が笑うみたいな感じ。

カジャの甘さが苦手の方は塩味のカジャある。私はこっちの方が好き。

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ナーランダのカジャ屋

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カジャを作る職人


佛旗


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インドで売られて売る佛旗バッジと高知県仏教青年会章佛旗バッジ

お寺でいろんな方の質問があるが最も多い質問のひとつにお寺の境内ではためく旗。あの5色の旗は何なのか。チベット?弘願寺オリジナル?いろんな解釈があったが、国際的な佛教の旗「佛旗」ですよというとそのようなものがあったのかとびっくりされる。

日本では佛旗の知名度は低いが仏教国であるアジア諸国は寺院行けば普通に見ることができる。特にスリランカなどは街中にはためいている。アジアの仏具屋には万国旗のようにして使う小さい佛旗まで売られている。最近では東京浅草寺の仲見世でも万国旗のように使用されている。日本の寺ではこの佛旗を法要時以外でつねに立てている寺院はあまりないし、お寺は誰が見ても仏教とわかるので立てる必要もないのかもしれない。

佛旗は1885年に基本デザインがスリランカで作られて1950年にスリランカで世界仏教徒連盟の第一回世界仏教徒会議で正式に国際佛旗となった。

「青」(「緑」の場合もある)は仏陀の頭髪の色で「定根」をあらわす。
「黄」は仏陀の身体の色で「金剛」をあらわす。
「赤」は仏陀の血液の色で「精進」をあらわす。
「白」は仏陀の歯の色で「清浄」をあらわす。
「樺」(日本は「紫」の場合がある)は仏陀の袈裟の色で「忍辱」をあらわす。
残りの1色は「輝き」をあらわし旗の6列目には独自の色は配されず、他の5色を上から順に並べた縞模様で表現される。

京都、西本願寺の法要では山門前にとんでもなく大きい佛旗が掲揚される。一見の価値あり。

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佛旗 弘願寺お花祭りでのシーン

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佛旗でデザインの高知県仏教青年会会員証。この佛旗を模したピンバッジをダライ・ラマ法王猊下につけていただいた。


アユヤタのガイドの告白


アユタヤの観光地で木の根に仏像の頭が自然にはまっている不思議な場所は非常に有名で、ここの写真はタイのアユタヤの代名詞的存在である。

昔、アユタヤであるガイドについてもらった。タイ人は人生で一度は出家してお坊さんになる習慣があるが短期間のみで還俗する方が多い。ガイドは仏教に詳しくレアな質問にもスラスラ答えるので聞いてみると彼はやはり元僧侶で7、8年僧侶歴があった方であった。ブッダガヤでもタイ人僧侶と付き合いがあったが、その身のこなしと話の内容が間違いなく元僧侶感を出す振る舞いだった。彼にこのブッダの頭の場所に案内された時、彼はこれは奇跡でこうなったのではなく、転がっていた仏像の頭を人力で根元において、こういう形になったのだ。自然にこうなるとはないとガイドをしてくれた。普通のガイドなら多分「ブッダの不思議な力で奇跡的にこうなったのだ!」とガイドするのではないか。さすが元僧侶。仏教には奇跡はない。

先日、南タイのお寺で今から、なんちゃってアユタヤを目指すかのごとくの木がお寺の境内にあった。何ともほほえましい。

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アユタヤの仏像

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南タイのあと数年でなんちゃってアユタヤ

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これは置きすぎ