ルンビニ参拝


ネパールのルンビニは2500年前にお釈迦様が生まれた誕生地である。世界各国から多くの方が参拝し大変賑わっている場所である。初めて訪れた時のは20年前でその頃よりはチベットやタイなど多くの寺院が出来、公園化された。現在も大型のチベット仏教寺院が建設中である。もともとここは沼地で開発が非常にしにくく、政府が変わるたびに開発が中止されたりと時間がかかったが、日本仏教会などからの支援により現在に至っている。

とはいえ田舎には変わりなくお釈迦様がお生まれになった頃と変わらない風景も広がっている。ここは首都カトマンズからはかなり離れており、少し車で進めばインド国境に接する。

アクセスはカトマンズから1時間ほど飛行機に乗るのが最も簡単で現実的である。バスも可能だが1日かかる。

マーヤ堂(御釈迦様のお母さんの名前)この中にお釈迦様が生まれた場所があり、誕生を記念する石(印石)が埋められているのを見ることが出来る。

産湯に使われたと言われているマーヤ堂の横にある池とその横の菩提樹

沐浴場横の菩提樹には祠が置かれているが何故だか本尊は涅槃仏。

同行した各宗派のお坊さんによるお勤め。

お堂横には仏教をインド中に広めたマウリア朝のアショーカ王(紀元前3世紀)による記念塔がある。インド中の初期仏教に関わる場所にはこの「アショカピラー」がある。

ルンタ。チベット仏教ではこれをお参りするときに捧げる。

駐車場からマヤ堂に伸びる公園化された参道

ルンビニ原風景の沼地

タイ人の寄付によりできた公園にある誕生仏


ネパールの細密仏画


ネパールにある浄土真宗寺院・カトマンズ本願寺の僧侶スニタさんのお父さんシュクラ・バハドル・ラマさんはカトマンズ本願寺本堂の内陣を書かれた有名な仏画師である。ネパールのお土産屋などで見られる仏画よりも数段精密な細密画を数人のお弟子と共に描かれている。

閑静な住宅街にある工房は日本などから依頼を受けた仏画など数点が描かれており、細密画用の筆や筆の形を整える道具などがおかれ、制作途中の仏画や数年かけて製作中の大型作品の涅槃図(お釈迦様が亡くなった時の様子)が目を引いた。ネパールにはこのような工房がいくつもあり日本人留学生もいるそうである。

かつて日本も家庭の仏壇本尊の絵像などを書く多くの仏画師がいたはずだが、今や写真、印刷技術が進み家庭のお仏壇の仏さまの絵像は印刷されたものが多くなった。ちなみに浄土真宗は仏画師が一部手書きした本願寺の発行する絵像の安置を推奨している。

ホテルに仏画を持ってきていただき吟味

真言宗で使う曼荼羅

シュクラさんスニタさん家族と共に

数年かけて制作中の涅槃図

阿弥陀仏。制作に1ヶ月ほど

道具

お弟子さんが曼荼羅を仕上げていた

阿弥陀仏絵像


佐々井秀嶺師来高


2017年6月21日高知県の山間部土佐町において佐々井秀嶺師の講演会が開かれた。ご縁は高知在住の写真家の方がインドで取材されたことがきっかけでこの運びとなったとのこと。

日本寺駐在以来19年ぶりにお会いするお姿はさすが82歳の高齢ではあったが、講演は非常にパワフルで当時と変わらず情熱的であった。現在インドでは一年に50万人ちかい仏教への改宗者がおりその頂点に立つのが師である。彼らはカーストの底辺で差別に苦しみカーストの根源であるヒンドゥー教から完全平等の仏教への改宗者である。師はインドに渡り彼らとともに仏教興隆活動を50年行っている。

この活動によりかつてインドの仏教徒は人口の0.8%というデータがあったが今や1億人つまり8%になったという話もある。近年実際にインドを歩いてみると彼らのグループのインド人僧侶や仏跡参拝する在家団体を頻繁に目にすることがあった。

師の信念は人の悲しみや苦しみと共に歩む菩薩道である。

高知市から1時間の山間部、土佐町の会場

200人以上の方が集まった

佐々井秀嶺師。

2017年5月の釈迦誕生聖地ルンビニで参拝する佐々井師のグループ。


霊鷲山の西方浄土


インドのラジギールにある霊鷲山(りょうじゅせん)は法華経と無量寿経がとかれた極めて重要な聖地である。平たく言うと「南無妙法蓮華経」と「南無阿弥陀仏」をお釈迦様が説いた場所である。

さてこの山に登ると50名ほどが参拝できるレンガ造りの簡単な参拝施設がある。この施設のお参りする向きがちょうど西向きで西方浄土に向かってお参りできるようになっている。

お釈迦様はこの場所で法華経を説いている最中にわざわざ中断して説いたのが無量寿経であることなどから、浄土系は無量寿経こそが出世本懐つまりお釈迦様はこの教えを説くために生まれてきたと考えている。当然法華経系はその反対と考える。考えはいろいろある。

ただ浄土真宗僧侶としてはこの施設が西方を向いてお参りできる施設になってる事実はありがたく感じる。この聖地はちょっとした山頂ににあり、かつては虎や強盗が出没する場所であったため、比較的安全な早朝にお参りするように多くの団体参拝旅行ではプログラムされているが、浄土系僧侶はあえて添乗員さんにお願いして西方浄土に夕日が沈む光景を拝むことができる夕方にお参りしたらどうだろう。

霊鷲山参拝。西方に沈む夕日

霊鷲山の頂上を下から望む

 

霊鷲山参拝中

霊鷲山にて。日没後は一気に暗くなるので夕方参拝の帰りは機敏な行動を。


ナーガルジュナ石窟


インド、ビハール州ガヤ市から約35キロ北方にインド最古級の石窟寺院バラーバル丘石窟がある。映画「インドへの道」の重要なシーンで出てきた紀元前3世紀ごろ作られた石窟寺院で、大きい岩をくり抜いて作られている。最近は訪れる日本人も多くネット上でも多く見ることができる。

ここからまだ2キロほど進むとナーガルジュナ石窟という同様の石窟寺院跡がある。実際に大乗仏教の創始者ナーガルジュナ(龍樹菩薩)の名前にちなんで付けられた名前という。現地で聞くと確かにナーガルジュナが住んでいたという。

この紀元前3世紀の石窟は大きな岩をくり抜き、縦長のドーム型ホールと小さい入り口を隔てて小さい円形のドーム部屋に分けられる。その壁はまるで鏡のように磨き上げられ当時の加工技術の素晴らしさがわかる。サルナート美術館にある同時代の磨き上げられたアショカピラーのライオン像を見てその滑らかさに感動した方もいると思う。美術館ガイドは現在はこのような技術は残っていないと言っていたことを思い出すが、石窟内は本当に鏡のように磨き上げれている。

この石窟は現在あまり訪れる人もなくひっそりとしているがバラーラル石窟に行った折はぜひとも訪れたい場所である。

(現在、治安のいいところではないのでガイドが必要な地域である)

ナーガルジュナ石窟遠景

丘の中腹に入り口がある

登り口

ナーガルジュナ石窟入り口

出入り口には碑文

石窟出入り口(1箇所のみ)

鏡のように磨き上げられた内部

縦長ドームのホール

石窟内部

石窟から下界を撮る。車のあるところにはムスリムの墓がある。19世紀この石窟はムスリムが礼拝堂として使ったこともある。奥に見える白い建物は建設中のゲストハウス。いまは静かだが将来は多くの観光客が来るのかもしれない。

丘はいろいろな奇石で覆われている

奇石の一つ。数メートルある

バラーバル丘石窟にあるナーガルジュナ石窟への案内板

 


シーク教黄金寺院の施食カレー「ランガル」


シーク教徒というターバンを巻いたいかにもインド人というグループがある。人口的にはあまり多くないが結束が固く成功者も多い。この宗教の本山がインドの北のアムリッツアルという町にある。デリーから飛行機で1時間少々。この本山、黄金寺院は眩いばかりの黄金の寺院を中心に総大理石作りの回廊があり多くの人がお参りをしている。異教徒も頭をバンダナなどで隠すなどの条件があるが問題なく参拝することができる。

さてこの寺院は24時間、300人に及ぶボランティアによる無料の食事が振舞われる「ランガル」が有名で、誰でもこの食事をいただくことができる。黄金寺院の一角に体育館のように広い食堂があり、1階で食器を受け取り2階の大広間(一度に5000人が食事可能)でいただき、1階で残飯、食器を返すという流れるような無駄のないシステマチックな動線が素晴らしい。日本人には衛生面が気にかかるが実際に食べて特に問題はなかった。そのカレーの味たるや質素ながら素晴らしく辛さも特になく乳粥の甘さは絶品であった。なんとその歴史は500年以上で毎日10万人分作られるそうだ。費用は全て信者の布施によって行われる。

食堂に入るのには独特な雰囲気なので少々勇気がいるが入れば歓迎され笑顔で迎えてくれる。

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アムリッツアル 黄金寺院

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参拝する人々。頭は隠さなければならない

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「ランガル」施食 施設入り口 ここで食器をもらい2階に上がる

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ランガル 施食施設

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一階で皿、スプーン、水入れを受け取る。

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カレーはこのようなバケツでシステマチックに配られる

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カレーをもらう。お代わり自由

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チャパティーをどうぞ

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お代わりをする参拝者

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乳粥、野菜カレー、豆カレー、チャパティーと水

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一列になっていただく

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手前の大バケツが残飯入れ、その向こうが食器入れ。食器は投げて入れる!(入らない!)全て作業はボランティアがやってくれるが荒っぽいことといったら!

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食材作りのボランティア。インド、世界各地からくる総勢300人以上とのこと

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実はシーク教徒は長男(家長)がターバンを巻きそれ以外はまかない。

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大量の食器

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シーク教のシンボル ステッカーが車などによく貼られている


団体旅行のチャイ


バックパッカーや個人旅行以外でインドを旅行をされた方なら初めてレストランや休憩所でインドのミルクティー「チャイ」を飲んだ時あれ?と思われたに違いない。それは甘くない !

インドの本当のチャイは甘すぎるくらい甘い。初めて飲むと甘さでむせるほどである。甘すぎて飲めない人もいるくらいだ。だいたい南、東南アジアを中心とする飲み物は基本的に甘い。タイでもペットボトルのお茶(烏龍茶的なもの)を飲んでも甘くてびっくりした方も多いとおもう。

インドではそれを見越して団体客や外国人馴れしているレストランはあえて砂糖は入れず、それぞれのお好みでということで自分で砂糖を入れることになる。ちなみに普通のカップであればインドチャイを再現する場合、角砂糖5個以上は入れてほしい。

しかしながら本当においしい道端の屋台インドチャイとは程遠く、是非ともインドに行ったら道端の屋台のチャイを楽しんでほしい。チャイ感が変わること間違いなし。もしお腹が心配なら長い煮沸をお願いしよう。チャイワラ(チャイ売り)は喜んでグツグツ煮込んでくれる。

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オールドデリー駅前のチャイ屋

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インドの屋台みやげ


インドでの楽しみの一つに買い物がある。屋台の小物屋での買い物。売られているのは数ルピーからせいぜい200Rs(300円くらい)までのステッカーやバッジ、ずた袋、ショール。昔駄菓子屋で山のような駄菓子の中から5円とかの飴や10円のアニメ(当時はマンガといった)のカードを買うのに少し似ている。

ブッダガヤなどの屋台は置いてあるものもだいたいわかるけれども、いまでも立ち止まり、新製品はないか必ずチェックしてしまう。滅多に行けない土地や初めて行く土地に行けば屋台の前から離れるとができない。

最近はアマゾンなどネット通販でいろんなインドグッズが手に入るようになったがこういった小物商品はなかなか入手できない。

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ダラムサラのステッカー屋

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ブッダガヤの土産屋台

 

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ブッダガヤの有名老舗アンティーク小物屋

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ブッダガヤのショール屋

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ブッダガヤの衣料屋台のカバン


菩提樹の数珠


「菩提樹の実」として数珠にされる実の種類は数種類ある。本当のインド菩提樹の実からは数珠はできないが、実際には違う実が「菩提樹の実」ということで世間では通ってしまっている。

さてその中で人気のあるものに鳳眼菩提樹、龍眼菩提樹、虎眼菩提樹というものがある。すべて同じマルナツメの実であるが細胞分裂のような割れ方(育ち方)で分裂数によって名前が違う。インドの数珠屋は鳳眼菩提樹を「一ツ目」、龍眼菩提樹を「三ツ目」、虎眼菩提樹を「四ツ目」と言い、分裂数、つまり目の数が多いほど希少価値がある。一般に出回るのはこの虎眼菩提樹まででそれ以上になるとかなりプレミアムなものになる。「五ツ目」と言われる5箇所に分裂しているものは心眼菩提樹とか天星菩提樹、五仏眼菩提樹などと言い方は多少違いが出てくるが稀に販売していることがあるが極めて高価である。

そしてそれよりも目数の多い六ツ目や七ツ目そして最高八ツ目まで存在する。これらは産地の念仏の発祥地ラジギールでも数年に一度出るか出ないかで、あまりに数が少なすぎて親玉になるくらいではないだろうか。しかも分裂しすぎて球体の形が崩れ楕円型になってしまっている。八ツ目はさすがに超希少でインドの大物数珠屋でも一生に一回見れるか見れないかという伝説の「菩提樹の実」である。

 

 

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鳳眼菩提樹 一ツ目

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龍眼菩提樹 三つ目

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虎眼菩提樹 四つ目

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五仏眼菩提樹 五ツ目

 

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六仏眼菩提樹 六ツ目

 

 

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七仏眼菩提樹 七つ目

 

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六ツ目の加工前の実

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七ツ目の加工前の実

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ラジギールの大物数珠屋から説明を受ける

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本物のインド菩提樹の実。無花果のようで柔らかく数珠にはならない


外国人は20倍


インドの観光地には入場料がいるところが多い。三蔵法師も勉強された有名なナーランダ大学跡の入場料金は外国人100RS(180円)インド人は5RS(9円)で20倍の開きがある。あの有名なタージマハールの値段は忘れたがたしか2、30倍はある。

20倍も高いと書くと入る気も失せるかもしれないが、それはこの社会のルール。ひとまず日本円に換算して、改めて考えたら100RSならたった180円。二度と来ないかもしれないその場所。入っておきましょう後悔しないように。

お寺(宗教施設)はどのような宗教でも基本無料であるがカメラ料金がブッダガヤ大塔などで発生する。その前に異教徒は入れない施設も多いのでご注意を。

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ナーランダ遺跡の入場券。上が外国人・下がインド人。