インドのマンゴー


6月のインドは地獄のように暑い。その暑さのなかで楽しめるものの王様はマンゴーであろう。インドも地区によってマンゴーの種類があり当然味も違うが、ブッダガヤのあるビハール州のマンゴーは最も人気がある品種の一つである。インド、ブッダガヤ日本寺に駐在中、酷暑のかな唯一楽しめたのは実際このマンゴーだった。

先日この酷暑の中ブッダガヤを訪れた時、暑さで食欲不振になる中、朝から晩までこのマンゴーばかり食べた。日本の沖縄方面、タイやフィリピン産のマンゴーはあるがこのインドのマンゴーとは比べものにならない。しかもこの時の時価は一個50円くらい。

琵琶湖のような形のこのマンゴーの形はよくインドの服などのデザインにされるが、時々日本の伝統的な和服デザインにもその面影があって、シルクロードを通ってきたものかと思いを馳せる。

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種のある部位はスプーンではなく手で食べるのが通

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路上マンゴー売り。一個50円ほど

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移動式マンゴー売り。


絵葉書


先日、本棚を整理しようとしたら懐かしいものを見つけた。一枚の絵葉書。

1998年、日本寺のある出張兼休暇でケラーラ州のとある観光地海岸を散歩中、お土産店が道路沿いにあり何気なく商品を見ていた時とんでもないものが目に入った。「日本寺の本尊」の絵葉書。

思わず店員にこれは何かわかるか?と聞くがハガキに書かれた説明を見て「仏像」以外わからないという。私はこの寺から来たのだ。ブッダガヤの日本寺はわかるか。といってもおかしい奴と思われ相手にされない・・・。確かにわけがわからないだろう。誰にも買われず長い間陳列されていた感のある一枚きりのこの絵葉書を購入した。

日本寺のあるブッダガヤで同じものが売られていたら特に気にもしなかっただろうが、この絵葉書は初めて見る上、このケラーラ州の観光地と日本寺は何の関係もない。しかも日本寺はタージマハールのようなインド全土どこでも売られている絵葉書になるような観光地でもない。まさかこんな所のお土産屋にタージマハールなどの絵葉書に混じって日本寺の本尊の絵葉書が売られているとは!

 

補足としてブッダガヤ内でも絵葉書は売られているが印刷も紙質も粗悪で、しかも10枚綴りくらいで自分で切り分けないとハガキとして使えない。その中に日本寺本堂の写真のものは見たことがあるが以下のような絵葉書は見たことがない。

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日本寺の本尊絵葉書。ブッダガヤでは売られていない。

 

 

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ちゃんと商品化された絵葉書。説明には「仏像」としかない。結構古いのでかなり前に商品化されたものか?

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シッキム山頂の聖地


インドのシッキム首都ガントクから車で狭い山道を3、4時間のナンチというところにチャーダムというヒンドゥー教の総合宗教施設がある。非常に広大でインド各地のヒンドゥー教の聖地の出張所がありお参りができる。各寺院ともその地方のお寺の建築様式で作られておりそこにはお坊さんもいて加持祈祷等もしてくれる。インド人のほとんどを占めるヒンドゥー教徒は信仰心が篤いのでの一緒に行った友人のインド人はうれしくてうれしくてしょうがないようで右往左往していた。山の頂上にあるので平たく言えば「天国」的な感覚があり、街の喧騒もなく施設自体は最近造られた新しいものだが、異教徒の私でも聖地感が感じられた。

シッキムというところは山間部で国道でも日本の町道クラスの狭い道しかないし崖崩れも頻繁に起こる。狭すぎてすれ違いも難しい狭いワインディングロードなのだが、思えばこの広大な宗教施設を作るためにはそれだけの物資をこの道を通り運ばなければいけない。比叡山や高野山に行った時も思ったが平地に作るのとはわけが違う。同様の聖地は世界にいろいろとあるが、それぞれ信仰心の深さを感じる。

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霧の中からシバ神。

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高さは30mくらい

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シバ神は最も人気のある神様

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施設はこのような感じ。幾つか見える三角屋根はそれぞれ各地の聖地別院。


エーク ミニッツ!


インドでは「ちょっと待って」というとき「エーク ミニッツ」ということが多い。「エーク」とはヒンディ語で「1」を表す。「ミニッツ」は英語の「分」つまり「1分ほど待って」

インドは時間の感覚が日本人とは全く違う。この言葉を信じて本当に1分しか待てなかったらインドを楽しむことはできない。本当に時間を計ったことはないが感覚的には10分ほど待たされる。もうすこし長い「もうちょっと待って」という言葉は「パンチ ミニッツ」。「パンチ」は「5」「5分ほど待って」であるが実際には2、30分ほどか。日本人とは時間の感覚が全く違う。

時間の感覚がこんな感じなので列車も飛行機も普通に遅れる。列車なんかは2、3時間遅れても平気だし、飛行機ですら数十分普通に遅れて出発する。インド人と旅行した時は朝9時集合が昼になったこともあった。もちろん彼らは二日酔いでも病気でもなかった。

ブッダガヤ駐在中に従業員の見るTVを見ても、正午のニュース的なものもその時間ぐらいにダラダラ始まる感じでキッチリ感はなかった。

インドを旅するあるいは生活する場合はこの時間の感覚は必修である。

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時間通りに来ないインドの列車

 


インド食器(指)考察


先日TVで海上自衛隊の金曜カレーを艦内でフォークを使い食べているのを見た。わたしは勝手に有事の際は武器に使用セヨ!という意気込みであえてフォークを使っているのかなあといったら、連れ合いが爆笑し食感が良くなるからだと教えてくれた。試すと確かに金属臭?感が減っておいしい。同じようなもので味噌汁を金属スプーンでいただくとまったく違う食感になることを思い出した。ちなみに正解はカレーはスープではないからフォークだそうだ。

さてインド文化圏のアジアの国は指を使って食事をする。もちろん外国人の来る店や上級店はフォークもスプーンも出ることも多いがローカル色が高くなるほど置いていない店もあるし、実際ほとんどのインド人は指を使って食べる。インド人に聞くと誰が使ったわからないスプーンなど口に入れるのはかなり抵抗があるようで、だいたい食器自体綺麗には洗われてはいない。インド料理というのはそれ自体が手の方が食べやすくできている。タンドリーチキンなどはその典型でフォークとナイフだけで食べるのは至難の技である。

手で食べる場合、基本的には親指、人差し指、中指を使いカレーとライスなどは丸めるようにして人差し指と中指にそれを乗せて親指で押し出すようにして口に入れる。チャパティー(平たく言えばナンの庶民版)はこの3本指でちぎってカレーをつけて食べる。また指(手)で食べた方が料理の温度、柔らかさなど口に入れる前からいろいろ堪能でき、しかもスプーンの金属臭がなくおいしい。

麺料理に目がない個人的見解で少々脱線した話だがブッダガヤで各国の法事に招かれたときに出る法事後のお斎(食事)で時々、焼きそば(チョウメン)が出た時、それだけはいつも手で食べるインド人僧侶はフォークを使っていた。確かにめん類だけは手では食べにくい。(特にスープ麺系(ラーメン)などは手で食べることは開発段階から考えられていない)インド文化圏で麺文化が広がらなかったのはこういったことも関係あるのだろうか。

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良くあるローカルレストランでの夕食。フォークを使うのは日本人のみインド人は素手でいただいているのがわかる。

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外国人団体旅行での夕食。英国式でテーブルセッティングもちゃんして給仕もつく。


ブッダガヤのマハンタ


マハラジャといえばインドはかつてその地区を治める王として各地にいらした。ブッダガヤにもこの地を治める大金持ちがおりマハンタと呼ばれていた。現在もブッダガヤ警察署の近くに昔からの城のような大きい家マハンタ邸がある。ブッダガヤはもともとマハンタの土地で現在は政府の管理下の大塔も彼の土地にあった。

日本寺駐在中一度お邪魔したくらいで最近は行っていなかったが用事があり訪れることになった。宮殿は高い塀に囲まれ大きい門から中に入った。オールドデリーの観光名所ラールキラー城の部屋ばりの豪華なものでマハンタの座る玉座には虎の尾頭付毛皮(お金持ちの象徴でよく出るあれ)の本物があり大迫力である。部屋の一角に仏像がたくさん置かれている。南方仏教上座部仏教系の方がお参りに来るのか仏像に金箔が貼られているものもある。特に仏足石は一見の価値がある。状態が非常によくデザインもよく見るものよりどっしりした形で美しい。多くは仏像全盛期パーラー時代12、3世紀のものとのこと。

基本的に個人の家なので観光地のように自由に見ることはできないが現地ガイドなど通して拝むことができる。

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マハンタ邸の仏像群

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いろいろな仏像

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仏足石

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正面より撮影


カジャ!カジャ!


インドの聖地巡礼でナーランダ大学跡に行った方ならおそらく食べているナーランダの銘菓「カジャ」。ウエハース状の甘い揚げ菓子で非常に人気のあるお菓子だ。ナーランダ近郊の主要道路沿いにこれを売る店がかたまって数十あり、ここの名物として観光バスや地元の人でいつもいっぱいである。

さてインド人は冗談が好きでこのカジャに関する冗談をひとつ。

少し頭の弱い男がいたそうな。彼がカジャ店の前で「これは何?」とカジャを指差し質問した。店の主人は面倒くさそうに「カジャ!カジャ!」(カジャだよカジャ!)と答えると男はそのカジャをとり勝手に食べだした。「何をするんだ」怒る主人。男は言った。「だってカジャ!カジャ!といったではないか」という冗談。(ヒンディーで「カジャ」とは「食べろ」と同じ意味)

これをナーランダや近郊ラジギールの人にこの冗談を話すと何回話しても爆笑される。外国人が吉本ギャグのベタな冗談を言ったら日本人が笑うみたいな感じ。

カジャの甘さが苦手の方は塩味のカジャある。私はこっちの方が好き。

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ナーランダのカジャ屋

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カジャを作る職人


ガンジス河の向う側


ヒンドゥー教最大の聖地ベナレスは最もインドらしい観光地であり説明の必要もないだろう。ここの街はガンジス川を中心として西側と東側の両対岸に土地があるが西側にしか建物はなく東側には何も建っていない。藤原新也氏のベナレスの写真集『メメントモリ』で有名になったようにこの東側は不浄の地であるから建物が建てられないのだという。この対岸に渡れば川岸には何かの遺体が打ち上げられていて少々どっきりすることがある。時に人の遺体も上がる(事故ではなく火葬されず流された遺体)インド人は屍体は広い意味で不浄なものとして考えているので、それがある場所はあらかじめ決めた不浄の地ではなく自ずと不浄の地になってしまったというか・・さて持論をここから始める。

ヒンドゥー教徒のベナレスの1日の最大のイベントは日の出にある。日の出が礼拝の対象でありベナレスらしい時間だ。異教徒から見てもありがたい時間でもある。この太陽が昇るのが当然東側であるので東側川岸には建物がない。いやもっと言うと建物を作ってはこの地平線から昇る太陽は拝めない。不浄の地だから建物を建てないのではなく、この日の出が拝めないから街を作らないのではないか。まあ一応この辺は不浄の地ということにして、本当のところは日の出のために大きい建物建てない。それが証拠にベナレスの東側の上流の川岸に日の出の邪魔にならない場所にはマハラジャの非常に立派な城がある。当然マハラジャは決して不浄の地には城は作らない。下流も鉄道の橋を過ぎ日の出の鑑賞に邪魔にならない場所までいけば川岸に街はある。

ともかくベナレスの日の出は美しい。全くの宗教的な日の出。日の出と共に山ほどあるお寺の鐘とヒンドゥー僧侶の読経が重なりそれはそれは素晴らしい雰囲気になる。仏教僧侶であるが心を打たれる時間である。この数キロ内陸に入ったところにお釈迦様が初めて法を説いた初転法輪の聖地「サールナート」がある。

 

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早朝まだ暗いうちからたくさんの人

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日の出を待つ

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日の出を前に沐浴する人

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ベナレスのあさぼらけ

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ベナレスの日の出

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ベナレスの西側。最も有名なマニカルニカーガート。日の出にはたくさんの参拝者がいる。

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東側の川岸。動物や火葬にされなかった人の遺体が上がることもある。

 

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ベナレスではこんな船をチャーターする。


ドゥルーガ プージャ


インドで年回数回大掛かりなお祭りがある。最も大きいのがホーリー祭でその他いくつかあるが、私のいつもの渡印時期が10月中旬が多い為ヒンドゥー教の「ドゥルーガ祭(プージャ)」に出会うことが多い。

数年前ブッダガヤからラジギールに向かう途中、大渋滞にあった。全く動かない。通常2時間で行ける距離だが、街を出たすぐのところですでに2時間くらいたっている。何かと思ったらこの祭りにぶち当たってしまっていた。

この祭りは毎年各村などのグループが粘土でドゥルーガ神を作り、何日か村の辻でおまつりして最終日に山車に乗せて川に流すということが行われるが、その山車を出す日に当たってしまった。

トラックやトラクターで神様を乗せた山車を引き、高知のよさこい踊りのDJ付きトラックのように大音響ディスコ音楽が流れて、そこに若者が踊り狂って歩いている。いつ暴動に発展するかわからないような勢い。いちおう警官もいるが横を通る私たちのバスを勢いでバンバン叩いてくる。運転手もビビって文句ひとつ言わない。私もできるだけ目を合わせないようにするが、同行の方がまさに怖いもの知らずで日本の感覚でちょっかいを出すとガラスを割られるような勢いになる。焦ったインド人ガイドが彼らを相手にすることは危ないと注意する。向こうの人もまあまあとなだめる人いてなんとか彼らを通過するがどんどん違う山車がすれ違う。バスは最徐行。そのうちモスクの前を通ると武装警官がうようよし始めた。あの勢いならモスクの焼き討ちにも発展しかねない。そのうち何とかバスは動き出し数時間遅れでラジギールに着いた。

インドのまつりは基本無礼講的なところがあり、彼らの日頃の鬱積したストレス発散の行事でもある為、日本のまつりの感覚で参加するのは非常に危ない。

以前にも書いたがホーリー祭という大きなものになると基本外国人は外出禁止とインド人に本気で勧められる。

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先頭は村長など

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トラクターで神様を引く。日本のハコ乗り状態の若者

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山車の後ろで踊る若者。すごい音量。

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音楽担当者は山車に安全な鉄格子付きのDJルームで。

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大人しめな別の山車

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ドゥルーガ神


インドの機内食


インドの飛行機の機内食は基本的に2種類。ノンベジタリアンとベジタリアン。肉か野菜か。宗教上牛や豚が食べれない人もいるのでベジタリアン以外なら宗教を問わず口にできる肉はチキンかマトンや魚。大量生産なので基本はチキン。

当然食事はカレーである。「ノンベジ?ベジ?」とニコリともしないサリーを着たキャビンアテンダント持ってくる。味はびっくりするような辛さではなく、マイルドな味わいで本当に結構美味しい。実際、国際便のエアインディア機内食は何度も航空業界の国際的な賞を受賞するような美味しさである。しかしカレーという食べ物はもともと匂いがきつく残り香が出るので機内に入ったらカレー屋のような匂いがする。まさにエアインディアは乗った瞬間もうインド!また短距離のインド国内線でもちょっとした軽食がでる。サンドイッチやコロッケのようなものとケーキなど。チーズだけが挟まれているパサパサのサンドイッチは日本のそれとは違って独特の味わいで、平たく言えば美味しくない。カレーが美味しいのになぜ改善しない!

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エアインディア機内食の写真がなかったのでブータン航空の機内食。大体同じ感じ。

ところでインド旅行は帰国するころにはもう当分インドカレーは見たくなくなるが。これらの機内食に出るカレーでも長くインドに行かなくなると無性に食べたくなる。基本各国の機内食は西洋料理ばかりなので自国の料理を出せる国の飛行機は素晴らしい。