菩提樹の葉っぱ


仏教徒にとって菩提樹は最も聖なる木である。なぜならこの木の下でお釈迦様が悟りを開かれたからである。お釈迦様滅後の約500年西洋文化の影響を受けたガンダーラ仏像が作られるまでお釈迦様像は形に表すことが不遜とされ偶像化されることはなかった。その代わり佛足石や菩提樹が礼拝の対象になっていた。特にブッダガヤの菩提樹はお釈迦様の正覚を開いたまさにその木である。ならばこの木は2500年以上の年輪が刻まれているかというとそうではなく仏教弾圧により長い間なくなっていた。1900年ごろブッダガヤ大塔が発掘され聖地として再機能してからスリランカにあった原木の3代目の孫の木からここに移されてきた菩提樹である。私が駐在していた頃は自由にこの木の幹に触ってお参りできたが、あんまりみんなが触るので木が弱ってしまい今は触れない。

IMG_0633

ブッダガヤの聖木・菩提樹

この木の葉っぱが仏教徒にとっては聖地ブッダガヤに来た記念品やお土産になる。先の数珠屋も数珠とともに「ハッパアルヨ!」「ホンモノハッパ!」とちょっとびっくりするセールストークをしてくる。噂ではかつて50年代の海外旅行が難しいころ旅慣れしていない日本人が100ドル札の価値がよくわからず菩提樹の葉っぱと交換していたという話がある。そんなこともあってか原価4Rsのブッダの絵の描いた葉っぱを100Rsで売ろうとする輩もいる。

IMG_2873

ブッダガヤで売られている加工された菩提樹の葉っぱ。因みにこれらは悟りの菩提樹のもではなくその辺の菩提樹の葉から加工。

さてこの菩提樹が日本で育つのか。ネットで見ると西日本や太平洋側日本各地でインド菩提樹がそこそこの大木になって育っている。私も悟りの菩提樹の種を持ち帰り育てて10年かけ育てやっと数メートルにまで育った。冬は大概大きい幹を残して枯れてまた枝が生えてくるのを繰り返す。先代住職が植木屋で見つけたインド菩提樹は20年以上かけてやっと8mほど育った。なお宗教色のない普通のインド菩提樹の苗木はネットなどで普通に販売されている。

IMG_2867

大きい方が植木屋で見つけた方で左側がインドの種から育てた菩提樹。

IMG_2871

菩提樹の葉っぱ

IMG_2870

インド・聖木菩提樹の種から育てた