ガヤのヒンズー教寺院でお釈迦様が剃髪したといわれているビシュヌパドマンデル(ビシュヌの足寺院)の門前町には多くの石材店がある。
その中にシタラム石材店という老舗の石材店があり、インド駐在中からお世話になっている。
親鸞聖人750回大遠忌記念に日本寺大先輩の曹洞宗のH師にお世話をいただいて高知県内の幾つかの寺院とともに仏足石を輸入した。(その仏足石は弘願寺ホームページ内の境内紹介に記載あり)これを作ったのがこの石材店である。最近この仏足石はいくつかの業者により国内で輸入販売されているが日本にこの仏足石を輸入したのはこのH師とこのブログによく出る友人ビジャイさんがパイオニアである。
さて数年前このシタラム石材店に用事があり久しぶりに訪れた。すると店先に作りかけの仏足石が捨ててある。どうしたのかと聞くと途中で割れたので使えないという。この仏足石の石材は聖地ブッダガヤのあるビハール州の多くの仏像や神像はブッダガヤとラジギールの間で取れるブラックストーンという黒い石を使う。これが固くて扱いが難しいらしい。オリジナルの仏足石もこの石から作られ、水や油を塗ると上品な黒光りをする。石を取りすぎて枯渇の危機にあるらしい。
仏足石を作っている時のスナップ写真を見せてもらうと石切場から持ってきて重すぎて工房に入れずトラックから降ろした店先の道路で掘っている。なんともインドらしい光景だ。運送以外ほぼ人力で行われる工程は昔と変わらない。油圧機やコンプレッサーなど機械類は皆無。インドの底力を感じる。