芸は身を助ける


パトナへ車で出張中、ドライバーのBが急にゆっくり止まって「先生。ハンドルが動かないです」という。ハンドルを調べるとハンドルは動くがタイヤが動かない。要はハンドルとタイヤをつなぐ何かが壊れているという状態であった。JAFなんか無い。ガソリンスタンドも近くには無い。いや真ん前がガソリンスタンドでもインドのガソリンスタンドはガソリンを売るだけで修理の出来る人はいない。これは困った。あたりは霧が出ておりここがどこか分からない。いやむしろ霧が晴れて野次馬が集まったら治安はあまりいいところでないので危ない。さてどうする。

私は自動車が好きで例えばミッションの積み替えレベルなら一人で出来る知識と経験があった。何せインドに赴任する時、この技術を日本寺に活かそうかと簡単な自動車工具をインドに持って来たぐらいである。

すぐさま車の下に潜る。ハンドルとタイヤをつなぐポイントのナットが無いことを見つけた。簡単な問題である。Bにどこからハンドルが聞かなくなったかを聞きその辺りにナットが落ちていないか探す。発見!車載の工具でナットを閉める。これでとりあえず問題ない。仏教とは全く関係ないけれどあの技術が無かったら間違いなく大変なことになっていた。

人生何が繋がるか分からない。

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ナットを閉める。今見るとタイヤ交換ジャッキだけで車の下に入っている。思い出してちょっとぞっとした。