ベトナム沈香


お香の中で最も希少で高級なものを「沙羅」(きゃら)という。特にベトナム産は昔から最高級であり、その希少性から近年価格が急騰し最近は金より高価で取引されることもあるとのこと。あまりにも高いのでそれより一段クラスの下がる「沈香」(じんこう)が通常、仏事や香道で使われる。これも産出される東南アジアの中でベトナム産が最も人気がある。

伽羅や沈香はある種の木の傷などから出る脂が木の中で長時間かけて変化して出来るのもであり、脂の多さが価値を決める。普通は自然にしかできないが、人工的にこれを作る技術が出来ておりベトナムでは大量に作られている。

沈香の天然物と人工物は出来のいい物は素人目には区別は難しく、また香りも普通に沈香のいい香りがする。また人工といっても特定の木を大量に植樹し人工的に傷をつけて、あとは自然に長年成長するのを待つという作業で、一応傷つける以外は自然の力で作られるので「天然物」とし販売する業者もいるそうである。

さて最近日本のお香屋などでよく聞く話に「沈香はもうない」「入手しずらい」とよく聞くことが多い。確かにワシントン条約の規制にかかっている天然物は取り尽くされかけているので、今後も入手は困難になるだろうが、大量に作られている人工沈香は植樹沈香木も大きく育ち、新たな植樹も増えているので入手は今後は容易(安価)になっていくのではないかと思う。

いいお香が安く手に入れるようになることはありがたいことで、お経の中にもいいお香をたくとより修行が高まるといった事柄が書かれている。

 

こんな大きな沈香がゴロゴロしている

沈香木

人工の沈香。これが最高級レベルとのこと。非常にいい香りがする。

ホーチミン某所のお香屋。こういった規模のお香屋が何件も連なっているエリアがある。