サンガダーナ


駐在僧の大切な法務として時々各国寺院主催や団体参拝者主催による「サンガダーナ」が行われた。ようは法事である。お釈迦様の誕生などの記念日(各国に日にちのちがいがある)やスリランカなどの参拝団体が法事をおこなうのだ。時間は決まっていて11時から開始。約30分のお経があり始め上座部のパーリー語のお経、そして大乗仏教であるチベット僧によるお経。たまに般若心経がリクエストされることあった。その後すぐに食事が運ばれ30分以内に終了し布施を受け取り正午までには終了となる。僧侶の食事終了を確認して信者さんが食事を食べ始める。上座部仏教僧侶は食事は午前中にしか食べれないという戒律があるためこの時間となる。

日本寺は年間、お釈迦様の花祭り(誕生)、成道会(さとりを開いた日)、涅槃会(亡くなった日)の3回行った。ブッダガヤ全体でいうとスリランカ人団体主催によるものが最も多く、次にタイ人やチベット寺院によるもの。食事は各国の特徴が出ることが多かった。ベトナム寺はベトナム料理。スリランカはスリランカ料理。台湾は台湾料理。しかしチベット寺院や日本寺はインド料理を出していた。ちなみにスリランカの上座部仏教系は魚カレーがたまに出た。私たち大乗仏教系(特に中国から日本)は精進料理が多いが上座部仏教に肉食を禁じる戒律はない。布施された食事はすべていただく。

私はお布施に上座部の黄色いお袈裟がいただけるのがうれしく、毎回楽しみにしていた。この袈裟もお国柄が出ていてスリランカは綿100%のもので洗うとごわつくが使い込むといい感じになる。タイ製はナイロンが少し入るものもあり肌触りはいいが日本人にはありふれた生地なのでわたしは好きではなかった。またビルマは色が赤っぽくかっこ良かった。タイ仏教の布施から茶色の袈裟もごくたまにありこれも上品だった。浄土真宗以外の宗派は如法衣(にょほうえ)というまさに上座部僧侶のようなマントのような袈裟をつかうので、みんなもらった袈裟を改良して使っていたが私は正式には使えないので、この生地をつかって浄土真宗の輪袈裟や五条袈裟をテーラー(仕立て屋)に作ってもらった。仕立て代は300円から500円少々。日本では考えられない価格である。

お布施はお袈裟以外は主にお菓子や石けん、簡単な薬と現金であった。ちなみにタイに行けばこの布施セットが普通にスーパーマーケットなどでも売られている。タイ人からタイ製の壊れない懐中電灯などよく質の高い物品を布施してくれありがたかった。

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日本寺の法要でお布施を渡しているのは、当時のマハボディーソサエティー(スリランカ寺)の住職ビマラサーラ師。ブダガヤ隣山会の会長でもあった。

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スリランカ寺にて僧侶にお布施を渡すスリランカ人信者。

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いただいた布施。カゼ薬や紅茶、石けん、タイガーバームとお袈裟。

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日本寺成道会のサンガダーナ